SV-1に乗り込むのは一苦労でした。約41kgもあるガルウィングドアは、簡単には開きませんでした。一応、油圧シリンダーが重いドアを開閉する役割を果たしていましたが、頻繁に故障してしまい、持ち主は外で立ち往生することも多々ありました。事故が起きた際に、内側で閉じ込められるよりはましだったのかもしれません。
新興企業のブリックリンは、車の複雑さに反比例する形で経験不足の労働力で新工場を運営していました。その結果、製造品質に欠けていました。革新的と謳われた繊維ガラスパネルは、時間が経過するにつれて歪み、雨の日には乗らない方が賢明でした。さらに、ヘッドライトもあまり点灯せず、夜間の運転を躊躇わせる要因となりました。
約12,000台の生産が誓約されていたにもかかわらず、最終的には3,000台未満しか製造されず、会社は倒産しました。その結果、実際に購入できないことが最も安全な特性となったのです。
1974年に登場したブリックリンSV-1は、安全性や性能に多くの問題を抱え、期待を裏切る結果に終わりました。限られた生産台数と品質問題により市場から姿を消しましたが、それが逆に安全とされる結果となりました。