アメリカの企業が外国で車を組み立てる際、部品は何度も国境を越えることがあります。例えば、アルミニウムは米国に輸出され、そこで部品を製造した後、再び他国でパワートレインを組み立てるために出荷され、最終的にアメリカに戻されることがあります。このような場合、完成されたパワートレインにのみ25%の関税が課され、使用されたアルミニウムには課税されないのです。
新たな宣言により、国内で組み立てられたメカニズムに使用される輸入部品に対して、関税のクレジットが認められることとなりました。5月3日から、自動車メーカーは車両のメーカー希望小売価格(MSRP)の3.75%まで関税をクレジットとして受け取ることができます。ただし、このクレジットは1年後に2.5%に減少し、その後廃止される予定です。
この新しい措置は、必ずしも国内自動車メーカーやアメリカの消費者の負担を完全には解消しません。例えば、シカゴで組み立てられたフォード・エクスプローラーにかかる関税のうち、推定900ドル分がクレジットで相殺されるとされていますが、テキサスで製造されるGMピックアップトラックに適用される1万ドルの関税のうち、2,000ドルしかカバーされないとされています。
さらに、関税は交換部品のコストにも影響を及ぼし、修理費や保険料の上昇につながることが懸念されます。現行の関税政策が変わらない限り、アメリカのドライバーは新車購入時だけでなく、既存車両の維持においてもコスト増を実感することになるでしょう。
トランプ政権は輸入車や部品に対する関税政策を一部緩和しましたが、アメリカ国内での新車や部品の価格高騰は続く見込みです。新たに導入されたクレジット制度も、消費者の実際の負担を完全に解消するには至りません。今後も車のオーナーにとって厳しい状況が続くことが予想されます。